メガネで無口な王子様
「おっはよーー!!!」
元気良くクラスのみんなに挨拶する悠斗くん。
……ご機嫌だなぁ…。
波多野くんの席を見るとまだ来ていなかった。
私は内心ホッとして自分の席に着く。
「おはよっ杏里っ!
悠斗くんと登校なんてラブラブだねーー☆☆」
「……おはよっ瑠璃!
…そうかなぁーあははっ…」
きっと今の私は愛想笑いしか出来てないと思う。
「うちも波多ピーと学校来よーかなぁ…」
瑠璃の言葉にびくっと反応する。
………瑠璃が…波多野くんと一緒に学校行く……。
……どうしよう……
こんなこと思っちゃダメなのに…
「……いいんじゃない…??
誘ってみたら??」
「うんっそーしてみるっ!!」
他の女の子と2人で登校なんて…
いくら瑠璃でも…
嫌だって思っちゃう。
こんな気持ち、許されないのに……。
私が波多野くんと行きたいって。
波多野くんのそばにいたいって。
そんな気持ちが一気にこみあげてきた。