君に出会えた奇跡…
━健━
俺は、今さっき真実を明らかにされた。
「野球ができなくなるかもしれない」
その一言が一番いわれたくなかった言葉だった。
野球というものは、俺を輝かせてくれたもの。
野球は俺が生まれてきてから、一度も愛さなかったことはない大事なもの。
そして…ー。
柚の失った夢を再び戻らせてくれた……
そんな、この人生の中で一番大切なことができなくなるなんてー
俺は、涙が止まらなかった。
いや、止まってほしくなかった。
泣いているときは、何も考えずにすむから…
わかっていた。
知らされる前、俺はこの肩の痛みがどれだけひどく痛いかを実感していた。
それで、もしかしたら出来なくなるかもとは心の奥の奥のほうであった。
真実になるのが嫌で、心の奥の奥のほうにしまっておいたんだ…
これからどうなるんだろ…
野球ができない人生。
俺はこれから、どんな道を歩んでいったらいいんだろ…
野球ができない道にこれから1歩を踏み出す俺はまだ、1歩が出せないままであった。