VOICE.
◆過去≫現在
コンクリートが打ちっぱなしの
狭い部屋に私ははいた。
微かな光さえ入らないこの部屋に、
もうどのくらいいたのだろうか。
壁には赤い血が所々に飛び散っている。
何を書いたのかわからない血文字や壁を殴ったときに
できたであろう血痕があった。
───もう私には、
感情なんてない。
ここから出れるなんて、
夢みたいなことは思わない。
もう1度、人生をやり直せるなんて思わない。
ただ、時間が過ぎて、
年をとって、死ぬのを待つだけ。