ふたり




「柊ちゃん………

本当にごめんなさい」



結は そう言って



オレの胸に顔を埋めたまま



寝息を たてた



いや



寝たふりをした



でも



オレは



何も 言えなかった




身体から感覚という物が



急速に抜けて行って



脱け殻になる





その夜から



耳の奥で



キ――――――ンと
金属が削れるような


耳鳴りが止まらない



それは




そう 絶望の音






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