ふたり



「結?」



両手で顔を覆って首を横に振り



「何でもないよ。
大丈夫だから………」



「…でも」


柊ちゃんが
身体を離そうとしたから



「やだ、離れないで」



ぎゅうっと
柊ちゃんにしがみついた



柊ちゃんの肩に顔を埋めて



愛してる 愛してる


柊ちゃん 愛してるよ


ずっと、ずっと



何十年も



幸せな時を柊ちゃんと過ごしていたかったよ



まだ死にたくないよ……



「結?」



ダメだ



泣いたらダメだ



せっかく幸せな時間を



あとわずかな時間なのに



泣いたらダメだ…………



「結、本当にどうした……」



ぎゅうっと もう一度きつく柊ちゃんを抱きしめてから



腕をほどいて



ゴシゴシ涙を拭き



「…毎晩しよう、柊ちゃん」


「はい?」


「一生分しようね」


「………結」



あとわずかな時間


貧弱な身体を気にしてたら
もったいない



「もう、柊ちゃんが 飽きて嫌になるくらい」


泣いたらダメだ
笑って言いたい


「これから、たくさん しよう」



柊ちゃんは一瞬とても切なそうな顔してから


「そんなこと言って……」


私の髪を優しく撫でて


力いっぱい抱きしめた



「愛してる、結」


私も


私もだよ、柊ちゃん


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