ふたり
あの温泉旅行から
結が小さくなるのは
ホントに一気だった
前髪をかきあげて
手を洗い 朝食の準備を引き継ぐ
カウンターキッチンから
リビングの結の様子を見ると
ソファーの上、膝を抱えて
まだ 頬っぺたを 膨らませてた
1つ 1つ 結は出来る事を
失っていく…………
オレは首を横に振り
失うモノを数えては いけない
出来る事を探すんだ
「結」
ジト~~~~っと
不機嫌に結は振り向いた
「手伝ってくれる?」
オレの言葉に
パァァァ~~~~~っと
表情を明るくして
「うん!」
やっぱり ピョンッてソファーを降りて
トタトタ……と走って来た
飛び跳ねたり
走ったり
仕草が子供になった結
当たり前か
身体は子供なんだから
犬みたいに キラキラした目で
オレを見上げて
「柊ちゃん、私、何する?」
「じゃ、テーブルにランチョンマット敷いて、お皿用意して」
「は~い」
嬉しそうに
食器棚に向かう結の後ろ姿を
オレは じっと見つめた