ふたり




――――藤代先生

    私ね、生まれてすぐ

    病院の植え込みに

    捨てられてたんだって



プロポーズをした時


結は笑ってオレに言った



あれは結が高校3年生の
2学期の終わり



養護施設のそばの公園



木が 上手に隠してくれるベンチ




もちろん、オレは結の担任だったし


結が事情があって孤児だったことも知ってた





――――家族って よくわからな    いし

    親に捨てられるような    子だよ?私

    先生、本当にいいの?




結は 世間話をするような口調で


オレに訊いた




――――オレが結の家族になる




オレの言葉に



結は嬉しそうに笑ったかと思ったら



顔をぐしゃぐしゃにして



たくさん泣いたっけ



ありがとう先生って



< 180 / 225 >

この作品をシェア

pagetop