ふたり
――――藤代先生
私ね、生まれてすぐ
病院の植え込みに
捨てられてたんだって
プロポーズをした時
結は笑ってオレに言った
あれは結が高校3年生の
2学期の終わり
養護施設のそばの公園
木が 上手に隠してくれるベンチ
もちろん、オレは結の担任だったし
結が事情があって孤児だったことも知ってた
――――家族って よくわからな いし
親に捨てられるような 子だよ?私
先生、本当にいいの?
結は 世間話をするような口調で
オレに訊いた
――――オレが結の家族になる
オレの言葉に
結は嬉しそうに笑ったかと思ったら
顔をぐしゃぐしゃにして
たくさん泣いたっけ
ありがとう先生って