ふたり
ガラガラ…………って
理性、自制心が崩れて行く音が聴こえて
それで……………
まぁ………………
気がついたら みたいな?
「あの時は、嬉しかったなぁ」
自分の不甲斐なさに
改めて凹むと
「スッゴク嬉しかったぁ…」
結が 遠くを見るような目で
独り言みたいに呟いた
嬉しかった
結の言葉に凹む心は一気に引き上げられる
「オレもだよ」
へへって
お互いに少し照れたように笑い合った
そして思い出す
翌日、学校で会った時に
結の顔がゆでダコみたいに赤かったこと
「我慢してる?」
急に大人びた口調で結は訊いた
我慢
それは身体の繋がりのことか
「いや」
オレは首を横に振って
「不思議と全然なんだよ
ほら、さっき観覧車でキスしただろ?」
結はうなずいた
「軽く触れるだけのキスで
オレすごい気持ち良かった」
それは本当だった
短いキスで
信じられないくらい胸が震えた
「だからさ、結
結局は身体が繋がるから気持ちいいんじゃなくて
心が繋がるから気持ちいいんだよ」
『気持ち』がいいんだ
『身体』じゃなく
『心』が繋がり初めて得る
『気持ち』良さなんだ