ふたり



それで、オレに死んだって嘘ついて?



筋金入りの強情に



少し おかしくて笑った



「藤代さん?」



「結は今どこに?」


「病院です」



「…じゃ、今すぐ迎えに行きます」



「待ってください、藤代さん」



立ち上がろうとしたオレを
田所先生は止めた



「結さん 本当にもうすぐ1人に出来なくなりますよ?

お仕事はどうするんです?

私は結さんを病院へ預けた方が良いと思いますよ

あなたの これからの負担は
大変な物になるでしょう」



オレは田所先生を真っ直ぐ見つめて言った



「結は知りませんが
もう学校には休職届けを提出済みです

4月からはずっと結のそばにいられますから」



オレは 受け入れたくないけど



もう用意はしてある



最期まで結のそばにいる用意




「結はオレの妻です
ずっと、ずっと永遠に

どんな姿になろうとも

オレは結を離さない」



田所先生は フッ…と笑って



「やっぱり話して良かった

結さんは幸せですね、本当に」



軽く田所先生に頭を下げて


店を出た



もちろん、結を迎えに



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