ふたり
キーンコーン カーンコーン
休み時間の始まり
化学室の隣にある準備室
オレはたいてい ここにいる
机の上で 実験の手順などをまとめたプリントを用意してると
ガチャッ
ノックもなしに
「ちょぉ、しゅーちゃん」
女子高生のイントネーションがおかしく聴こえるオレはもうオジサンという事なのかな?
制服を着崩した前髪をチョンマゲみたいに結った女子生徒が入ってくる
「しゅーちゃん、冷蔵庫貸しといてね」
ずかずか入り込み
オレの返事を待たず
冷蔵庫を開けジュースをしまう
「おい、勝手に入れるな
それに『しゅーちゃん』じゃなく『藤代(フジシロ)先生』と言いなさい」
「なにそれ?ウケるんですけど」
いやいやウケないからっ
女子生徒はケタケタと笑いながら
部屋の中央に置かれた黒い天板の作業台に足を組んで座り
カチカチとケータイをいじる