ふたり
結が入学して すぐの頃
オレは学校の廊下を考え事しながら歩いてた
プライベートで嫌な事があって
(ただ単に半年付き合った彼女に振られただけだけど)
春なのに
春なのに
オレは少し凹んでた
曲がり角を折れた瞬間
――――ドンッ!
オレの胸に衝撃があって
―――――ドタッ
オレの足元に1人の女子生徒が転がった
ヤベ
転ばせた
「ごめん、大丈夫か?」
オレが その女子生徒に手を差し出し
女子生徒はうつむいたまま
「は…はい、すみません」
手を伸ばし
ふたりの手が繋がって
初めて目と目が合う
特別 美少女でもない結の
手が触れたその瞬間
――あ、オレこの子と結婚する
そう確信した
結は立ち上がり
「すみませんでした」
ペコッと軽く頭を下げて
オレの横を春風みたいに
通りすぎたんだ