ふたり




学校の帰りに結の大好きな
苺のショートケーキを買った




「ただいま」



玄関で 片方 靴を脱いだところで




「柊ちゃんっっ!」


結がものすごい勢いで
リビングから飛び出してきた



「ゆ…結?どうした?」



「あ……あのね………」



結は頬を赤くして
目は少し潤んでる



熱、高いんじゃないのか?



そう思って結のおでこに手を伸ばした時



「起きたよ!奇跡」



結が興奮した様子で言った




「はぁ…?」



おでこに伸ばした手を宙で止めて



「奇跡って……?」


そう訊き返した瞬間に
結の言いたい事がわかる



奇跡



結が願った奇跡




「いるよ」


結はお腹に手を当てて


「赤ちゃんっ!いるんだよ」





「―――――――……」




結のキラキラした笑顔に



なんだか胸がつまって



言葉が出なくて




―――いるよ



―――赤ちゃんっ!いるんだよ



短い時間の中で結の言葉を
何度も何度も反芻した



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