ふたり
「ほ……本当に?」
やっと出た言葉と声は
なんだか間抜けだった
結は 何度も強くうなずいて
「微熱が続いて、アレも遅れてたから薬局でテスター買って……」
結の弾む声
ああ、本当に本当だ
じわじわ喜びが湧いて
「やったなぁ、結っ!」
「柊ちゃんっ!」
ガコッ
ケーキの箱をそのまま落として
結と きつく抱き合った
「結っ!テスターは?」
「えっ?」
「見せてよ。記念だろ?」
え~~って
結は少し困った顔をして
「だって…尿検査だよ?」
「そんなの気にするな
見たいよ」
リビングに入ると
しぶしぶ結はテスターを出した
スティックの小さな窓に
赤いしるし
これがオレと結の奇跡のしるし
「…写真………」
オレの呟きに
「えっ」
結は驚く
「デジカメ!
デジカメで撮らなきゃ」
「やだやだ、柊ちゃんっ
落ち着いてっ」
結は恥ずかしそうに
オレの腕を掴んだから
仕方なく陽性のテスターの記念撮影は止めにした