ふたり



結は ゴシッて涙を拭いて



「大丈夫だから柊ちゃん

何も心配しないで

私は大丈夫

ごめんね。ダメな奥さんのまま終わって

柊ちゃんはまだ若いし
今度はさ、しっかりした女の人探してね

私なんかと違って………

お父さんとお母さんにも認めてもらえるような

赤ちゃんたくさん産めるような

そんな女の人と………」



言葉を口にする度に


結の目は潤んで



何度も何度も目をこすりながら結は言った



「ごめんね。柊ちゃん

私が柊ちゃんを好きになったから

柊ちゃんをバツイチにしちゃうし」




違うよ 結



恋をしたのは オレが先だよ




「結は知ってる」



「え?」



「結が
高校に入学したばかりの頃

オレたち廊下でぶつかって
結は派手に転んだんだ」



結は どうしてオレがそんな話をするのか不思議そうに見つめて



「私が柊ちゃんにぶつかったの?

全然…知らない………」



ほらね


結は覚えていない



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