ふたり
あの春の日
転んだ結に手を差し伸べて
手が繋がった時に
オレは 結と結婚するって
思ったんだよ
結に恋をしたのは
オレが先だ
オレはテーブルの上の離婚届けを手にして
――――ビリッ……
「柊ちゃん!」
ビリッ、ビリッ、ビリッ………
細かく細かく千切った
「忘れたの?結
結婚式で
神様に誓ったじゃないか
病める時も健やかなる時も
どんな時だって
助け合って生きて行くって
――…死が二人を別つ時まで
愛し合うことを
神様に誓ったんだよ」
しゃべってて
何度も何度も
目に涙が浮かんで
視界がぼやけた
だけど
泣かないで
オレは結に伝えなければ
覚悟を決める
それは
結を先に逝かせる覚悟ではない
希望は最後まで捨てないよ
だけど 大丈夫だよ結
「結
大丈夫だよ、結
最期まで一緒にいようね
どんな姿になったって
結はオレの立派な奥さん
世界一のオレの奥さんだから」