【旧】モノクローム
 

「そう?」


ふと、頭上から誰かの声が聞こえた。


ナンパか……?


でもナンパなら、こんなところでするだろうか?


私は眉をしかめ、声の主の顔も見ず考える。


とりあえず、私はこの声を聞いたことがない、という結論に至った。


そしてその声の主を見ようと顔を上げようとしたけれど、その声の主はすでに私の隣に腰を下ろしていた。


「よく来るの?」


暗くてハッキリと顔はよく見えないが声と、輪郭でなんとなく男だということはわかる。


……だけど、こいつは一体誰?


私は眉をしかめたまま、その男の声に答える。


「あなたには関係ないじゃない」


そう言うと、彼はふっと笑い声を漏らす。


「冷たいなあ」

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