【旧】モノクローム
私には、早くこの男がこの場所から去っていって欲しいという想いしかなかったから、それほど罪悪感はなかった。
だから、その言葉に私は何も返事をしなかった。
「知ってる? ここ、昔花畑だったんだよ」
「……知ってる」
全て無視しようと思っていた彼の言葉に、思わず消え入りそうな声で答えてしまった私。
内心、しまったと思いながら体操座りをして顔を埋める。
「だと思った。じゃなきゃ、悲しいなんて言わないよな」
私、こいつ嫌い。
そう直感的に思った。
まるで、全部お見通し、と言われてるような気分になる。
早く帰って。ここから離れて。
するとその念が通じたのか、隣の男はすくっと立ち上がり大きく伸びをした。
やっと、ひとりになれる……
そう思ったときだった。