【旧】モノクローム
 

「悲しい、と思う場所に君はどうして来るんだろうね?」


ふいをつかれた質問だった。




「……君も悲しいの?」




瞬間、胸をぎゅっと握りつぶされたように苦しくなって。


彼はそのまま背を向けて歩き出していた。


……悲しい?




「私は、カナシイの?」




気がつけば、彼にそう訊ねていた。

< 12 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop