【旧】モノクローム
 

夜の闇に紛れてしまいそうな、弱くてかすれそうな声。


それでも彼は振り向いて、穏やかな口調で言った。


「どうだろうね?」


闇の中で、彼の微笑む姿がうっすらと見えた。


そして、その闇の中に彼は消えていった。




調子が狂う。


あいつは何なの。


胸の中のもやもやだけが残って、不安になる。


― 君も悲しいの? ―


その言葉だけが頭の中で繰り返される。

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