【旧】モノクローム
でも、どこで……?
ぼんやりと考えていると、前の席に座っていた彼が立ち上がり、階段を上がってくる。
いつの間にか、彼から目が離せなくなっていた私は彼が私のとなりに立っていることに数秒遅れで気付く。
「となり、いいですか?」
彼は完璧な笑顔を見せて、私に問う。
……この声。
「どうぞ」
私は聞いたことがある。
「いつもひとりなの?」
荷物を置き、私のとなりに腰を下ろす彼。
「大体ね」
私は素っ気なく答える。
講義はいつの間にか始まっていて、さっきまで賑やかだったこの場所も静かになっていた。
そんなこともお構い無しで彼は話す。
「じゃあ、俺が一緒にいてあげようか?」