【旧】モノクローム


その言葉を聞いたとたん、私は眉をしかめた。


そんな私を見て、くくっと彼は笑う。


「見るからに嫌そうな顔するね」


「あなたが変なこと言うから」


「本気なのに」


私をからかうように、その台詞を言った彼を私はじっと見る。


この人、嫌い。


「からかってるの?」


「どうでしょう?」


意地悪に微笑む彼。


完全にからかわれてる。


私は荷物をまとめ、座ったままバッグを手にした。


講義中だろうが関係ない。


私はそのまま席を立ち、講義室をでようとした。


が、それはあっさりと彼の手に引き止められた。


私が立ち上がろうとした瞬間、彼が私の腕を掴んだのだ。


「逃げるの?」


耳元で彼は小悪魔のように囁いた。

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