【旧】モノクローム
バカバカしい、と私は笑った。
じゃあ、この男は一体何が目的で私に構ってくる?
何故この間の夜、草原で声を掛けてきた?
こんな、空っぽな女に構って何が楽しいんだろう。
「理由、聞きたい?」
「どうせ、くだらない理由でしょう?」
ふっと彼は悪魔のように微笑むと、私の瞳をじっと見つめてそっと口を動かした。
― 君に、興味があるんだ ―
彼の瞳を見ると吸い込まれそうなくらい、くらくらした。
冗談で言っているのか、本気で言っているのかわからなかった。