【旧】モノクローム
きっと私が「ハヅ」ではなく「葉月」だなんて、誰もわからない……
ハズなのに。
あの男、気に障る。
ずかずかと人の心の中に入って、掻き乱す。
そんな挑発に乗ってしまった私が情けない。
誰もいなくなった講義室にぽつりと、とり残された私は机にうつ伏せになる。
「アオ……か」
ミズタニ アオ。
彼はこれからも私につきまとうのだろうか。
それを考えると、妙に苛立った。
ぶつぶつと考えていたとき、バッグの中の携帯のバイブが鳴った。
電話だった。
掛けてきた主を見ると「ユウタ」と書いてあった。