【旧】モノクローム
人が行き交う大学内を足早に歩いていると、ちょうどユウタらしき後ろ姿が見えた。
そういえば、ユウタも同じ大学だったっけと今さら思い出す。
ユウタは男友達と一緒で、別に話しかける理由がなかったのでそのまま人の流れにのって通り過ぎようとしたとき。
「そういやお前さ、あのハヅちゃんと付き合ってるんだって? マジうらやましいんだけど」
ユウタの友達の口から私の名前が出てきたことに少し反応してしまった。
「だろ?」
「つーかさあ、サエちゃんはどうしたんだよ?」
得意気に答えたユウタにその友達は言った。
するとユウタは、はっと鼻で笑い、答えた。
「それはそれ、これはこれ」