【旧】モノクローム


時間が経つのがこんなに遅いだなんて。


夕飯を食べ終わり、片付けてしばらくテレビを見ていてもまだ8時だ。


……早いかもしれないけど。


私はテレビを消して、部屋着に軽くカーディガンを羽織って外に出た。


日はもうすっかり沈んでいて、月が出て来はじめていた。


春と夏が混じった風が少しだけ心地いい。


少し歩けばあの草原に着いた。


きっと、彼はまだいないだろうと思った。


だってこの間、初めて彼と会ったとき夜遅くに彼はここに来たから。


だけど、そんな予想を彼はあっさりと裏切った。


「遅かったね」

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