【旧】モノクローム
 

そんな私に驚き彼もしゃがみこみ、私と同じ目線になる。


「大丈夫?」


こんな風にしたのは彼なのに。


本当に、心配そうな顔をしてるのが暗闇の中でも見てわかる。


「お願いだから、構わないで」


そんな彼に、私はもう一度言った。


掻き乱されたくないの。
干渉なんてされたくない。


同情なんかいらない。


「何で?」


「……」


彼の問いに私はまた黙る。


何も答えない私に、彼は諦めたのか立ち上がって空を見上げた。


そんな彼を私は思わず見上げた。


「前に聞いたよな。『悲しい場所にどうして君は来るんだろう?』って」


でもね、と彼は続けた。

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