【旧】モノクローム
「俺はここが悲しい場所だなんて思わない」
思わず見上げた空。
その空には無数に輝く小さな星。
この街でもこんなに綺麗な星が見れるんだ、と思わず心が緩んだ。
そのとき、星空を彼の顔が隠した。
「ずっと、君が来るのを待ってた」
ウソだ。
と彼に言いたくても、口が動かなかった。
ふざけるのにもほどがある。
本当、どのくらい私の心を掻き乱したらあなたの気が済む?
「だから、ここは俺にとっては悲しい場所じゃないんだけど」
今まで穏やかに微笑んでいた彼の顔が急に真剣になる。
そんなの、私の知ったことじゃない。
そんなもの、欲しくない。
欲しくない、のに。