【旧】モノクローム


その瞬間、反射的に私はユウキの手を振り払っていた。


「……あ」


ヤバイと思ったときには遅かった。


ユウキは表情からしてだいぶ、頭に血が昇っていた。




私がユウキの腕を反射的に振り払っていたのは、アイツのせい。碧、のせい。


あの夜……私としたことが、碧に抱きしめられた夜と同じ場所を掴まれたから。


それだけ、だ。




それにしても、どうしよう。


別にユウキにキレられても、怖くない。襲われたって、痛くも痒くもない。


ただ、ここでされると人通りが少ないからって大事になりそうで面倒だ。


「お前なあ……!」


ああ、ほら。


やっぱりキレた。


面倒くさいな、もう。

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