【旧】モノクローム
私はベッドで寝ている男もそっちのけで、薄い色のワンピースに軽くカーディガンを羽織り、そのまま家を出ようとした。
「んー…、ハヅ…?」
寝室から出ようとしていた私を後ろから寝ぼけた声が聞こえた。
聞こえなかったフリをしたかったが、もう一度、今度はハッキリとした声が聞こえた。
「どっか行くの?」
こんなところで捕まるなんて、と思いながら彼の方を向いた。
「うん。ちょっと」
「こんな時間に、ねえ……」
男はまるで独り言のように呟いた。
「また他の男のところだったり」
明るい、いかにも馬鹿丸出しの口調に、当たっても外れてもいないその言葉に黙りこんでしまう。
その様子をみて男は言う。
「さすが、100の男と寝た女だねー…」