【旧】モノクローム
自分で上手いことを言ったと思ったのか、クスクスと笑い出した男。
そんな男を置いて、私は急ぐように家を飛び出た。
あんな、私のことなんて何も知らない男の言葉なんて真に受けなくていいんだ。
そう、聞き流せばいいの。
だから、何? 貴方は私の何を知っているの?
私を、語らないで。
走った。
走って、走って、走った。
こんな夜中に、全力疾走なんてしているのは私くらいだと思う。
息を切らして、着いたときには私の頭の中はパンク寸前だった。
「もう関わらないでよ!!」
座っている碧の背中が見えたときには、私はそう叫んでいた。
その声に碧はこちらを振り返り、その場を立つとゆっくりとこっちに向かって歩き出してきた。
「もう嫌なのよ! うっとうしいのよ!!」