【旧】モノクローム
 

なんで私は碧に向かって、こんなにもキレているんだろう。


こんなの、ただの八つ当たりだ。


こんな、感情剥き出しの私なんか、私らしくないのに。


落ち着きなさいよ。


ふっと、涼しく笑ってみせて、「なんでもない」っていつものように、


「ひとりにしてよ……!」


突き放して、拒絶して。


「どうしたんだよ」


私の目の前まで来た碧はそう訊くが、そんな私はその声を拒絶して右手が上がる。


「何で……!!」


振り下ろそうとしたとき、ぱしっと肌が触れ合う音がして。


その音は前にも聞いたことがあって。


私の右手首はあっさりと受け止められていた。


「イヤ!」


反射的に私は、今度は左手を上げたがそれもあっさりと受け止められた。


何も抵抗することができなくなった私は、「離せ」「触るな」と拒絶の言葉を碧に吐いた。


そんな私を、碧は複雑な表情で見ていた。

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