【旧】モノクローム


「変わらない人なんていないよ」


そう言う碧に私は鼻で笑った。


「今自分が『私は変わったね』って言ったじゃない」


「それは俺の言葉じゃないし、それにそいつが言ってたのは『無表情なところが変わらない』って言ってた」


その人の言っていることは正しい、と言おうと思ったそのとき。


「俺、その言葉聞いたとき『ふざけんな』って言ってやった」


だって、と言って私をじっと見つめる。


「今さっき、怒った顔してたし」


にっと笑われて、かっと頭に血が上る。


からかわれている。


「そう。別に否定しなくてもよかったのに」


「今の葉月は拗ねてる顔してる」


「うるさい」


予想通りのことを言われたのか、碧はまた笑って言った。


「何があったのか知らないけど、葉月は変われるんだよ」

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