【旧】モノクローム
 

私が口を開こうとしたその瞬間。


「ふざけんな」


私でも、青木くんでも無い声が聞こえて、私は声の方向に振り返った。


また、彼なのか。


彼を見た青木くんは妖しげに口を歪めた。


「何? 碧には関係ねえじゃん」


「……殴られてえのか」


ずかずかと私の横を通り、青木くんの前に立つと乱暴に胸座を掴んだ。


その場に漂うピリピリと張り詰めた空気。


こんな空気には慣れているはずなのに、目の色が変わった碧を見ると背筋がぞっとした。


ユウキのとき見たいな目ではない。彼の目が、あからさまに怖い。


そんな碧を挑発するように、青木くんは言う。


「まるでオモチャを取られた子供みたいだな」


「テメェ……」


「今のお前、酷い顔してんぞ。彼女も怯えてる」


「……っ!」


青木くんに言い勝てることができなかった碧はまた乱暴に放した。


バツの悪そうに碧は俯き、私と目をあわそうとしなかった。

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