【旧】モノクローム
 

「…っ」


せっかく、このまま深く眠りにつけそうだったのに。


ほら。


またこの夢だ。


ベッドから上体だけ起こし、隣を見る。


すやすやと安らかに寝息を立てている、さっきまで私を抱いていた男。


外を見ると、もう空には星が出ていて部屋中が暗い。


私はベッドから出て、辺りに散らばっている服を着て、バッグを取ると鍵もかけずに外へ出た。


……もう、春だというのに夜に吹く風はどこか肌寒い。

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