【旧】モノクローム
――碧から離れてくれないか。
その光景が頭の中で延々と繰り返されている。
あのラブホから一人で出てきた私は近くでタクシーを拾い、そのタクシーの中でじっと100万の入った封筒を見ていた。
『どういう訳で碧と親しいのかは知らないけど、最近君と絡んで碧の評判が悪くなってるんだよ』
『……私が近づいてるわけじゃないわ』
それなら、と彼は続けた。
『碧を遠ざければいいだろ。君が碧のことを煙たがっているって話は聞いてるし』
『わざわざ金を払ってまでそうしたい理由は何……?』
それは、と彼の表情が微かに歪むのを私は見逃さなかった。
――君と碧は似合わないからだよ。