【旧】モノクローム
しばらく歩くと、大分暗い中に慣れてきた瞳に草原と穏やかに流れる川が見えた。
やっぱり、今年も……
そんなことを思いながら、私は草原に腰を下ろす。
灯りは空にある月だけ。
それだけで充分だ。
この場所を見て、誰が昔ここは花畑だったとわかるだろう?
春になれば、色とりどりの花が咲き乱れる。
懐かしくて、残酷な場所だった。
ここ最近はすっかり花も咲かなくなって、それと同時に人も寄らなくなっていった。
「……悲しいね」
そう、ぽつりと呟いてみる。