こんな私を愛してほしい
「隼人から借りたこのCD超よかったよー。私、気に入っちゃった」
「まじで。今度このバンドの他のCD貸そうか?」
視線に入る隼人の顔はいつになく笑顔だ。
「本当に?じゃあ明日もって来てくれる?」
杏里の高い声も笑顔も、私の表情を強張らせる。
何で声変えるの?
そんなに笑った顔も見たことない。
聞きたくないけど、耳に流れ込んでくる。
隼人の快諾に「指切りしよっ」というそんな言葉も全て、私を苛つかせる要因でしかないと分かっているのに。