君、想う刻
「朱音そろそろ一緒に歩かない?」
夕方になり廣瀬に誘われた
葵が気を使いさりげなく君嶋隼人の方へ行く
私は黙って廣瀬の後を追う
私たち以外に人はいない
「朱音……昨日ことなんだけど
アレは朱音のヤキモチだって勘違いしてもいい?」
ちょうど夕日の光で廣瀬の顔が凛々しく見える
どうしよう……私廣瀬のこと好きって言いたい
「朱音が"廣瀬"って呼ぶ度に切なくなっていたよ
今はすっかり慣れたけど……
僕は朱音に"廣瀬"って呼ばれてしまった日から朱音が好きだよ
好きになるのが遅すぎてごめんね」
"ごめんね"
そう言われて小さかったあの日の私は少し救われた気がする