君、想う刻
「朱音♪食後の散歩しない」
盗み聞きをした後なんとか冷静にご飯を食べてる
「行ってきなよ」
葵の笑顔には
告白頑張ってっていう意味が込められてる
けど……
「夜の海の神秘的で綺麗だね〜」
夜の海は月の光で海が綺麗に反射してる
夜だから廣瀬の背中を見ても多分私の顔の表情は分かりにくいだろうし
「朱音は隼人が好きなの?」
振り返って言われた言葉が予想外
「はい?」
なんで君嶋隼人が出てくるの?
「夕食の間ずっと隼人しか話してなかったし
やっぱり勘違いすぎたって反省してるし」
「違うよ……君嶋隼人はイイ人で
別に君嶋隼人だけ喋っていた訳じゃない」
勘違いしないで
君嶋隼人が好きなわけじゃない……
私は……廣瀬が好きだから
だから
「朱音ごめんね
いつも朱音が困るようなことばかり言って」
廣瀬がポンッと私の頭に優しく手をのせる
「寒くなってきたから帰ろ」
ヤバイ……
私と廣瀬の間に
何かヒビが入った