君、想う刻
「朱音が高校に入学したら、もう7年目だ」
「何が?」
「朱音に片思いしてから」
廣瀬は普通恥ずかしくて言えないことをサラリと言える
しかもココはエレベーターの中
幸い誰もいないけど……
「そーゆーこと言わないでくれない?」
「朱音が中々僕に好きって言わないからだろ
僕ばっか告白して……」
廣瀬は不満げに言う
「だったら他に好きな人を作れば?
いくらでもいるでしょ
他にも宝石メーカーや着物メーカーの令嬢とか」
「そ―んなこと言って……
本当に乗り換えたら嫌なくせに」
一瞬、廣瀬が本当に乗り換えたことを想像して見たけど……
「出来るの?」
「まぁね、これでもモテるんだ」
エレベーターを降りる時私たちと同じぐらいの女の子が廣瀬を見て後ろで騒いでいた
「ね?」
「ウインクは反則でしょ
それよりどこ行くの?」
「約束の服を買いに」
約束……
「嬉しかったな――
朱音が僕と同じ高校にいくためにあんなに頑張る姿が見れるなんて
受かったから服プレゼントするよ」
そう言って廣瀬はアカウンダと言うブランドの店に入る
廣瀬は真っ直ぐレジに向かい何か話してる
「はい」
すると廣瀬は真っ赤なワンピースを渡して来た
「今来てよ」
試着するとサイズがピッタリ
「開けるよ」
私の返事を聞かずに勝手に開ける
「うん似合うよ」
普段は嘘くさい笑顔なのに
今は素の笑顔で笑ってるから――
少し顔が暑くなる