君、想う刻
「廣瀬……」
「ごめん朱音
悪いけどもういい?
ほらっ!僕これから季山エリカに婚約申し込まなきゃいけないから
その準備をしなければいけないんだ」
ニッコリ笑っているハズなのに…
目が笑ってない
そんな廣瀬の顔を見るのは初めて
「……季山エリカが可哀想
そんな思いで申し込むなんて」
私は何故かキツい言い方になっていた
もう廣瀬の顔が見れなくて……
私は自室から出ようとすると
「朱音には関係ないよ」
廣瀬が小さな声が言うのが何だか寂しかった
自分で閉めたのにバタンとした音が切なかった