忘却心 第一幕 月下章
雪という雪。薄暗い夜に雪という無数の灯りが降り注ぐ。
下は真っ白なキャンパス。上はどこまでも続く果てしない黒。
どちらもぽつぽつと頼りない淡い光に照らせれていて、その様はとても言葉では言い表せないくらいの幻想的な景色。
そんな美しい光景とは裏腹な、苦しみもがくような声が薄暗がりの夜の中にぽつんと佇むテントに響いた。
「おいっ!そんなに締める必要はねーだろ!!!」
「煩いよ、マーヴェ。あ、フィルラそこのベルトを取っておくれ」
アルトとソプラノの声が二つ。
テントの空気口となっている小動物の出入りが出来るか出来ないかくらいの小さな穴からじっと幻想的な光景を食らいつくように見ている少年。
薄暗がりな中チラチラと降り注ぐ雪と同じ銀色の光を持った髪は乱雑に切り込まれて入れているがくりっとカーブを描く髪にはそれがよく映える。
その髪を疎ましそうに耳に掛ける少年。そこからちらりと見えた瞳はガラス玉の様に光とぼんやりと宿すヴァイオレットがあった。
名前を呼ばれた少年はちらりと声の主に向き直る。すると声の主はこれだと言わんばかりに顎で少年の傍に無造作に置かれているベルトを指す。
「これ…?」
「そうそれ。…ちょっといい加減におしマーヴェ!!!」
下は真っ白なキャンパス。上はどこまでも続く果てしない黒。
どちらもぽつぽつと頼りない淡い光に照らせれていて、その様はとても言葉では言い表せないくらいの幻想的な景色。
そんな美しい光景とは裏腹な、苦しみもがくような声が薄暗がりの夜の中にぽつんと佇むテントに響いた。
「おいっ!そんなに締める必要はねーだろ!!!」
「煩いよ、マーヴェ。あ、フィルラそこのベルトを取っておくれ」
アルトとソプラノの声が二つ。
テントの空気口となっている小動物の出入りが出来るか出来ないかくらいの小さな穴からじっと幻想的な光景を食らいつくように見ている少年。
薄暗がりな中チラチラと降り注ぐ雪と同じ銀色の光を持った髪は乱雑に切り込まれて入れているがくりっとカーブを描く髪にはそれがよく映える。
その髪を疎ましそうに耳に掛ける少年。そこからちらりと見えた瞳はガラス玉の様に光とぼんやりと宿すヴァイオレットがあった。
名前を呼ばれた少年はちらりと声の主に向き直る。すると声の主はこれだと言わんばかりに顎で少年の傍に無造作に置かれているベルトを指す。
「これ…?」
「そうそれ。…ちょっといい加減におしマーヴェ!!!」