忘却心　　第一幕 月下章
「いつになったら始まるの?」




何も無いただ真黒な闇しかない空間に突如、水面を叩くとできる波紋のような物が現れる。

そしてそこからぬっと細い手が現われたと思うと、先ほど現われた波紋が向かい側に現われた。

そして向い側の波紋からも体長2mを軽く超す朱いマントを身にまといフードを深く被ったものが出てきた。

「約束の時はまだだ、ロイル…いい加減出て来い。」

声からして男だろう、巨体の持ち主はもう1つ自分の向かい側の波紋から出ている手に声をかる。

すると、暗闇に不気味に浮かび上がる波紋からその手の持ち主はゆっくりと姿を現した。

「だってつまんないだもの。」

そう言っている割には不適な漏らしているのは向かい側にいる大男とは打って変わり、小柄とまではいかないが細身な男か女なのかわからない大男と同じ朱いマントを身にまといフードを深く被った者。

「ブレイリー、あの方は?」

ふと周りを見渡すがそこにいるであろう、あの方が居ないのに気が付いたロイルと呼ばれた細身の体の持ち主はブレイリーという大男に視線を移す。

「見ての通りだ、あの方は来られて居ない。さっさと姿を現わさんか、お前達………。」


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