愛傷─幼なじみとの恋─
あたしを心配する優しい言葉にあたしは壊されていく。

「え?ちょっ…何で?」

泣きそうなのは雄のせい。

さっきまで笑っていたのが嘘だったかのようにあたし達の間には変な空気が流れていた。

雄が大好きだから。

………大好きだから、臆病になる。

雄を好きになったのがダメだったんだよ…。

「もう、いいの。変な事言ってゴメンネ…。」

あたしは玄関に手をかけた。

「おい!綾!」

雄の声は閉まるドアの音に消された。

鍵までちゃんと閉めて、部屋に向かうあたし。

部屋に入って目についた物は小学校を卒業する時に撮った雄との写真。

あたしは写真立てを手に取り思いっきり投げつけようとした。

…………けど、出来なかった。

今のあたしが、思い出を傷つけちゃいけない。

床に落ちたのは写真立てじゃなくてあたし自身。

座り込んだあたしの横で写真立てが倒れた音が響いて消えた。

写真の中のあたしはなんでそんなに笑顔なの?

今のあたしはなんでこんなに泣いてるの?


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