愛傷─幼なじみとの恋─
雄はいつもここから会いに来てくれていた。

だからあたしも…ここから雄に会いに行く。

……と考えたのはいいけどやっぱり怖い。

ギリギリ足を伸ばせば届く距離には雄の家のベランダ。

しかし、あたしの足はそこまで長くない。というより短い。

「どうしよ……」

で、でも雄はいっつもここからだった。

こんな怖いところからわざわざ会いに来るんだ。

雄を思う気持ちがあるんだから…あたしにはできる!!!

「キャァァァァア!!」

雄みたいに静かに行くことはできなかったけどあたしはなんとか、向こう側のベランダに行くことができた。

今は腰が抜けて座ったままだけど……

さっきベランダに出た時に思った。梨華に借りた小説に書いてあった言葉が今のあたしの背中を押してくれたのかもしれない……。

その言葉はね………。

『人を好きになる気持ちを抑えるのはなかなか難しいことで…。

その恋を諦めたところできっとその思いは、伝わるまでひっそりと心の中にあって……。

人の恋心は思いを伝えるまで絶対に消えない!』

そう書いてあったんだ。

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