愛傷─幼なじみとの恋─
そう言って立ち上がる雄。

あたしはベランダを歩く後ろ姿を見ることしかできなかった……。

………いつのまにこんなに背が伸びたんだろう。

小学校の時はあたしより小さかったのに…。

中学から私立に行っていたあたしは雄を見ることが少なくなって……。

たまに会っても『後ろ姿を見る』なんてなかったな……。

「ゆ…雄!!」

「ん??」

優しい笑顔を向けてくれた雄に涙を流しそうになる。

「ありがと!慰めてくれて。」

あたしの顔は赤かったと思う。

「気にすんなぁ!!」

ピースサインを見せてきた雄。

あたしも雄にピースサインを返した。

やっぱり雄を好きって気持ちは変わらない。

あたしが雄の隣にいられるのはいつまでなんだろう。

雄に優しくされると余計不安になる。

『友達』としてしか、雄と一緒にいられないから……。

今、この時間を大切にしたい。

「綾───!!」

!??

ベランダに出ていたあたしは声が聞こえてきた雄の方を向いた。

「1人で溜め込むな──!!全部聞いてやるから────!!」

………じわりと涙が出たのがわかった。

「………ありがと───!!!!」

青く澄みわたっている大空に向かって叫んだ。


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