TOXIC ―不適合な奴等―
 だらりだらりと歩く彼が向ったのは街の東。
 目抜き通りを少し外れた所に、それはある。

 屋台村だ。

 と言っても少しばかり広い広場程度の規模だが、屋台と言うだけあって書入れ時は夜の為、この時間、大体が閉まっている。

 幾つか湯気の上がる屋台の内の一つ、端の方にある『めし・さけ』とだけ書かれた、ちんけな造りのモノに入った。


「よう」


「おおッ旦那!!」


 どうやら馴染みのようだ。
 四十代だろうか?
 少し背の低い、ひょうきんな顔付きの黄色人の男。
 土方(ドカタ)のような格好に、頭には捩じり鉢巻き、腰にはエプロンをして……何故か短刀が見える。

< 16 / 53 >

この作品をシェア

pagetop