TOXIC ―不適合な奴等―
 雑居の一階に位置する骨董屋には、西洋とも東洋ともつかない怪しげな雰囲気があった。

 香のような独特の匂いのする雑多な店内は、小さな電球がポツポツと灯っているだけで、薄暗く湿っぽい。


「ロスちゃん、久しぶりじゃないの? 元気?」


 声の方を見ると商品と思しき物の中、般若の面の下に、老人がキセルのような物を銜えて座っていた。


「どうも、王爺さん」


 王(ワン)と呼ばれた老人は、深く刻まれた皺だらけの顔をくちゃっとさせてハメネイを迎える。

 ひょいと出て来た王は、名からみても旧中国系の人物のようだ。

 白髪で長い髭を生やし、背はそんなに高く無く、ひょろりとした手足をしているが、どこか筋張った印象を受ける。

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