TOXIC ―不適合な奴等―
 が、見覚えのある人一倍目立つ背が、既にそこにあった。
 小さく嘆息する。


「よぅ、若頭。そこ退いてくれるとありがたいんだけど?」


 既に座りグラスを傾けていたのは、腰までの長い暗灰色の髪をした男。


「やっ、ロストックの」


 そう言って軽く手を振る。
 短い丈の青みがかった白いスーツを着て、シャツの裾はだらしなく出している。

 この男が通称、若頭と呼ばれているカンパニーの筆頭、クラーク・カーツウェルその人だ。

 ハメネイよりだいぶ若い印象を受けるが、年齢はそんなに変わらない。

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