TOXIC ―不適合な奴等―
act.2 その少女、俯きて
 昼過ぎ、いつものように街をぶらついてる時だ。
 サングラスの通信機に通信が入った。
 雑音混じりの賑やかな声。
 ユエルからだ。


《…ハメ…イ……今、どこ…いるの?》


「ん? 五番街の雑居あたりだが、珍しいな。どした?」


《えっ…何? 五番? ……んもぅ、…いいかげん内通にす…いいのに……》


 雑音混じりに何か悪態を吐いている。
 嘆息せずにいられない。

 前からよく話ていたのだが、今の世の中、体内通信が基本で、ハメネイのようにサングラス等の体外通信機は旧式だ。

 ピアス型のが主流であり、直接神経に繋がるせいか、体外通信機とは相性が悪いらしい。

 ハメネイはその機械に侵されてる感を嫌って、今だに体外通信機なのだ。
 体内通信機の方が安く、メンテも楽らしいのだが…こればっかりは譲れない。

< 34 / 53 >

この作品をシェア

pagetop